オープンデータ情報ポータル

2014/09/27

リポート

 LODチャレンジ実行委員会は9月27日、東京・三田の慶応義塾大学で「オープンデータ・サミット」を開催した。日本でオープンデータの普及促進、活用に取り組む複数のグループからメンバーが登壇し、それぞれの活動を紹介するとともに、ビジョンや課題の共有を図った。

 2012年にいち早く発足し、国内のオープンデータ活用促進をリードしてきたオープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)の庄司昌彦氏(国際大学GLOCOM主任研究員)は「日本ではオープンデータを国内の経済活動に役立てよう、という議論が多いが、海外ではよりグローバルな視点で戦略的に語られている」と指摘した。OKFJでも国際連携の活動に力を入れ、今後はアジア太平洋地域のオープンデータ関係者を集めた会合の日本開催や、アジア全体のオープンデータ集作成などに取り組みたい、と話した。また、全世界で同時に実施される毎年恒例のイベント「インターナショナル・オープンデータデイ」の次回開催が2015年2月21に決まったことも発表した。

 このほど平成26年度情報化促進貢献表彰で総務大臣賞の受賞が決まったオープンデータ流通推進コンソーシアムの村上文洋氏(三菱総合研究所主席研究員)は「日本のオープンデータは、すでに『周知の段階』から、ビジネスや地域活動などで具体的に使われる『社会への浸透』の段階に移行しているのではないか」と分析。コンソーシアムでは、政府機関がデータを公開する際の利用規約について、オープンデータとしての活用が期待できる「政府標準利用規約案」を作成し提案しているが、すでに多くの省庁で導入が進んでいるという。近く一般社団法人化し、名称も変更する予定であると明らかにした。

 全国各地で発足しつつあるエンジニアコミュニティーの形成と連携を支援しているコード・フォー・ジャパンの小俣博司氏は、市民が主体となり、テクノロジーを駆使して地域課題の解決を図る「シビック・テック」の重要性を強調。すでに国内で18の「コード・フォー・(地域名)」が活動を始めており、さらに16のコミュニティーが準備中だと報告した。また復興庁、福島県浪江町と協働し、エンジニアを町役場に派遣している「フェローシップ」についても紹介した。コード・フォー・ジャパンは米国のコード・フォー・アメリカに触発されたものだが、関係者が気軽に集まって話ができる「井戸端会議」の開催など、日本ならではの取り組みも始まっている。

 データ活用に積極的な自治体の首長が連携して発足した「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会」の竹内聡氏(福岡市CIO補佐官)は、福岡市のオープンデータ戦略について紹介した。分散しているデータをまとめ、可視化するオープンデータサイトの作成を進めるとともに、推進協議会や、地元で立ち上がった「ビッグデータ&オープンデータ研究会 in 九州」とも連携して活動していくという。

 講演者全員で臨んだパネルディスカッションでは、こうした様々な団体が別個に活動している状況をどう見るかが話題となった。庄司氏は「地域SNSが広がったときも、ひとつの協議会を作ったりはせず、定期的に全国から集まるイベントだけを開催していた。すると次々と新しい人材や様々な手法が登場し、お互いをリスペクトしながら刺激しあい、全体で発展していく流れができた。そうして新陳代謝を繰り返していくのがいい」とコメントした。

 司会者がそうした動きを持続可能にしていくためにどうしたらいいか、と質問すると、アーバンデータチャレンジ東京の関本義秀氏(東京大学生産技術研究所 准教授)が「確かに、先頭を走っている自治体でもキーパーソンがいなくなるとストップしてしまったり、といったケースはある。しかしデータをオープンにする、ということはユーザーにとって明らかなメリット。ウェブサイトの開設が廃れないように、多少のアップダウンはあっても全体的には広がっていくのではないか」との見方を示した。LODチャレンジ実行委員会の豊田哲郎氏(独立行政法人理化学研究所 部門長)は「立場を超えて、自治体に働きかけたり、オープンデータ活用の接点になるような人材を応援していくことが大事。私たちが主催するコンテストでもそれを実践してきた」と強調した。

 村上氏は「米国では、一般に向けたデータの公開もさることながら、それを使える開発者をどうサポートしていくか、という視点を持っている。そのように行政と、市民との中間にある存在が重要」と指摘。LODチャレンジ実行委員会の高梨益樹氏(富士通)は「これからは、リタイアしたITリテラシーの高い層がその担い手になることも期待できるのでは」と述べた。

 しかし、現状ではこうした活動に参加するエンジニアがまだ少ないのも事実。この点について小俣氏は「エンジニアがプライベートな時間を使っても『やってみたい』と思えるように、シビックテックの側が投げかけていくことも必要ではないか。普段の仕事では得られない楽しさ、スキルを上げるための勉強会とはまた異なる刺激を感じてもらえるような場を作っていきたい」と話した。

 今回のイベントは、特に連携面を重視したオープンデータの活用「Linked Open Data(LOD)」の浸透を目的としたアプリ制作や技術開発、アイデアなどのコンテスト「LODチャレンジ」2014年度版のキックオフ会合という意味も持つ。サミットに先立ちあいさつした、実行委員長の萩野達也慶應義塾大学環境情報学部教授は「これまで『つながる』ことを大きなテーマとしてきたが、今年度はその集大成を目指す。作品がつながり、応募者がつながり、そして今日登壇いただいたような方々をはじめ、オープンデータに関係する活動もつながっていくような取り組みにしたい」と意気込みを語った。

 LODチャレンジ2014の作品募集は10月1日からスタート。「アイディア部門」「アプリケーション部門」「基盤技術部門」「データセット部門」「ビジュアライゼーション部門」の5部門について、1月18日まで受け付ける。3月12日に慶應大学で授賞式を行う予定。

 
関連リンク
LODチャレンジ2014 ウェブサイト http://lod.sfc.keio.ac.jp/challenge2014/